2017年5月22日月曜日

AMP analysis #1 part 2 (JP)

トラッカー人口の総数は1位ドイツ、2位スウェーデン、3位フィンランド……という順であることを、AMP analysis #1において示しました。しかし人口比率で見た場合、トラッカー音楽のもっとも盛んな国の実態は、また変わってきます。下記のグラフはそれを示したものです。



これを見ると、フィンランドが群を抜いてトラッカー使用の盛んな国であることが分かります。人口10万人あたり約27人がトラッカー・ミュージシャンである計算になります。次いでスウェーデンとノルウェーが同約15人。

この構図は北欧メタルの人口比率を想起させます。フィンランドは世界有数のメタル大国でもあるわけですが、人口10万人あたりのバンド数は53.2組。ざっとその半分くらいトラッカー文化が浸透しているといえそうですね。もちろん両者にさほど接点はないでしょうから、フィンランドはメタルやトラッカーだけでなく、そもそも音楽活動そのものが突出して盛んな国なのかもしれません。

トラッカー人口全体では1位だったドイツが、人口比でみた場合そこまで突出した存在でもないという事実も、なかなか興味深いところです。人口あたりの盛況ぶりでいえば北欧以外の国々とさほど変わりません(約2.2人/10万人)。意外な感じではないでしょうか。

13位(チェコ)以下の国々は1.0人/10万人を割り込んでいます。総数でいえば5位につけているアメリカが、人口比率で見た場合は18位(約0.4人/10万人)まで転落しているのが目を惹きます。マイノリティが馬鹿にできない人数になるというのは、さすがに大国といったところでしょうか。

ちなみに日本はといいますと、正確な数値の測定は難しいですが、10万人あたり0.08人くらいになると思われます。こうやって数字にしてみると、そりゃトラッカー使いはレアキャラだよなと思い知らされますね。

2017年5月11日木曜日

『チップチューンのすべて』正誤表

初の自著『チップチューンのすべて』(誠文堂新光社)が、おかげさまで本日ついに発売となりました。最初の発売予定日から1年以上も遅れてしまい、多くの皆様にご迷惑をおかけしてしまいましたが、335ページという紙幅の許す限りにおいて、歴史の転換点となった事象をあらかた網羅できたはずだと信じております。ただひとつ心残りなのは、内容を詰め込むことに没頭するあまり、校正時間をいたずらに切り詰めてしまったことです。おかげで多くの誤字脱字を残してしまいました。たいへんご不便をおかけいたしますが、ここに正誤表をご用意いたしましたので、なにとぞご容赦のほど、よろしくお願い申し上げます。(Special Thanks: 加山。, Do., Bun, UME-3, トマ, たけがみりう [敬称略])

2017年5月7日日曜日

AMP Analysis #1 (EN)

Everybody knows the tracker population mostly comes from Europe. But how many people from which country are there? I think obvious statistic has never been counted even though Amiga Music Preservation (AMP) provided nice framework for that. So I collected and sorted more than 15000 people registered there. Here're the results:  


Data taken from AMP's database on April 30th 2017. I summarized countries having less than 100 trackers in 'others' group. The below is the countries included in the group (country/people): 

Austria 76
Russia 72
Turkey 51
Slovakia 43
South Africa 34
Israel 34
Yugoslavia (ex.) 32
Scotland 30
Japan 28
Greece 27
Croatia 26
New Zealand 25
Brazil 25
Serbia 22
Portugal 22
Slovenia 19
Iceland 18
Ireland 17
Argentina 14
Ukraine 12
Estonia 11
Northern Ireland 8
Belarus 8
Singapore 7
Romania 7
Luxembourg 7
Qubec 5
Wales 4
Taiwan 4
Mexico 4
Malta 4
Bulgaria 4
Martinique 3
Venezuela 2
Lichtenstein 2
Jordan 2
Isle of Wight 2
Dominica Republic 2
Uruguay 1
New Caledonia 1
Macedonia 1
Isle of Man 1
Costa Rica 1
Chile 1

Hm, well, numbers from fewer countries may not be  close to the actual state. For example, AMP shows only 28 Japanese people. However, aka_obi's jp-mod-music includes 84 artists. I'd never say AMP lacks reliability because language barrier is always very high around Japanese people. I'd say AMP is the union catalog of 'trackers visible from European/American world'. Absence of most African/Middle-East/Asian countries in the data element also bears out AMP's point of view.

2017年5月5日金曜日

AMP analysis #1 (JP)

トラッカー人口は欧州人が多いというのはよく知られている事実ですが、どの国の人たちがどれくらいの割合を占めるのかという具体的な数値は、これまで測定されたことがありませんでした。書籍の執筆時にそれが気になって、改めて調べ直したのが下記のグラフとなります。


データはAmiga Music Preservation (AMP)から採録しました(2017/4/30日付)。ここには世界各地で活躍する(した)トラッカー使いたち約1万5000名の情報と、そのMODファイルたちが集積されています。総数100人以下の国は "others" にまとめました。

おおよそ予想を裏切らない結果になっていると思いますが、やはりドイツ人の多さが圧倒的です。次いでスウェーデン、フィンランド、イギリスというのも、納得のいくところでしょう。それ以下の順位では、ポーランドやハンガリーの健闘がちょっと意外なところかもしれませんね。

ちなみに日本の順位は...

24. イスラエル
25. 旧ユーゴスラビア(一部)
26. スコットランド
27. 日本
28. ギリシャ
29. クロアチア

こんなところに位置しています。ただし下位の国々のデータは、実態とは大きく異る可能性があることに注意する必要があります。AMPに登録されている日本人の数は28名ですが、赤帯氏のまとめたjp-mod-musicには、84人の名前とデータがあります。AMPの数はあくまで「欧州語圏から見える場所にいた人たち」の数として捉える必要があるでしょう。またそもそものところで、中東やアフリカの諸国については国そのものが登録されていませんし、アジアも
日本、台湾、シンガポール以外は同様です。

ブログ開設

初の自著『チップチューンのすべて All About Chiptune』の刊行を機に、チップチューンとゲーム音楽専門のblogを立ち上げました(VORCの停止からほぼ10年ぶりになりますね……)。


それほど頻繁には更新できないと思いますが、まずは書籍に盛り込みきれなかった情報などを書き綴っていければと思います。よろしくお願いします。




ゲーム音楽レビュー本/カタログ本の25年史~『ゲーム音楽ディスクガイド』に至るまで

2019年5月31日、私hally監修の 『ゲーム音楽ディスクガイド』 が発売となりました。ゲーム音楽がレコード化されるようになってから既に40年が経過していますが、それが一般的な音楽評論の俎上に上る機会は、いまだに多くありません。そんな状況に一石を投じるべく、 DJフクタケ 氏...